お知らせ

日本初!モーリシャス事故現場の複数衛星画像を解析、鮮明な事故後の状況を報告

2020.9.1

 株式会社天の技は、海洋ごみ・海洋汚染モニタリング事業の一環として開発していた複数衛星画像を同時解析する手法を用いて、モーリシャス重油流出事故現場を調査したところ、事故後の鮮明な画像と周辺状況について日本初の観測結果が得られました。今後も様々な衛星を用いた重油流出状況や漂着監視技術の開発に取り組み、事故現場の状況把握に貢献していきます。なお、この取り組みは、日本財団、一般社団法人日本先端科学技術教育人材研究開発機構 (JASTO)、株式会社リバネスが共同実施する海洋ごみ削減とビジネス創出を目指した「プロジェクト・イッカク」の一環で実施しています。

背景|弊社はプロジェクト・イッカクにおいて、複数の衛星画像を用いた海岸漂着ごみモニタリング技術を構築しています。本事故の発生を受けて、衛星4基が撮影した画像を解析したところ、鮮明な画像が得られました。本手法を活用し、今後も重油拡散状況の解析結果等を迅速に関係者に共有することで、本事故の状況把握に貢献するとともに、新たな知見を得ながら、海洋ごみの観測・診断システムの確立を進めていきます。

SecureWatch © 2020 Maxar Technologies
2020/8/8 時点の可視光画像での様子 
Image © 2020 ICEYE Oy
2020/8/6時点のSAR画像 可視光画像と比較し、座礁した船舶から重油流出が広範に広がっていることが見て取れる

現在の状況|世界最高の撮影分解能を持つMaxar社WorldViewシリーズや、多数の衛星連携により現状世界で最も迅速なSAR画像サービスを提供しているICEYE社のSAR衛星等のデータ利用に関する契約を締結済みです。弊社はプロジェクト・イッカクの元、6つの企業、2つの大学で構成されるチーム「Debris Watchers」のリーダーを務め、各衛星画像の特性に応じた解析方法の検討を元々進めていたこともあり、その知見を生かして2020年8月における重油の拡散状況の推定を実施しております。

(左) ©EU Copernicus Sentinel data 2020  (右) Image © 2020 ICEYE Oy
2020/8/22(左)及び8/25(右)時点のSAR画像 船舶前半が撤去。最新の状況では、高分解能なICEYE社の画像によると、オイルフェンスにより、海岸への重油漂着を抑止していることが分かる。
ICEYE社SAR画像に対して様々な手法を使って解析中。SAR画像の特性上、黒い部分が重油とは限らず、その確定はかなり慎重であるべきであり、重油か否かを厳密に確定するには、様々な観点で総合的な評価を実施する必要がある。上図は8/6の画像から重油(赤)、陸地(紫)、内海(緑)、外海(青)等を推定した様子。

今後の方針|引き続き解析とデータ収集を行い、近日中に最新の情報へアップデートし、公開する予定です。また、プロジェクト・イッカクの関係各社や、本件への対応を検討している団体などと協力関係を構築し、本事故への環境への影響解明や、早急な回復へ貢献することを目指します。

■プロジェクト・イッカクについて https://ikkaku.lne.st/
この取り組みは日本財団、一般社団法人日本先端科学技術教育人材研究開発機構 (JASTO)、株式会社リバネスが共同実施する「プロジェクト・イッカク」の一環で実施するものです。本プロジェクトは、海洋ごみ削減とビジネス創出を同時に実現する事業モデル構築を目指し、ベンチャー企業を中心とした超異分野チームを組成して推進しています。

■Debris Watchersについて https://coastal-cleanup-satellite-drone.com/
海洋ごみ、特に漂着ごみの分布や種別情報は、その回収装置や計画を開発、検討するために重要になると考えます。そこで沿岸部のゴミ漂着状況を、衛星、ドローン及び定点観測装置等を用いた、長期・網羅的な観測及び詳細分析が可能な海ごみ診断システムの開発を行います。将来的には、地球レベルでの効率的なゴミ回収・漂着予測の実現も目指します。

株式会社天の技 について
所在地 :東京都大田区北馬込1-1-13
代表者 :代表取締役 工藤裕(くどうゆう)
設立 :2018年
主な事業内容 :宇宙機器、造形装置、映像・音響機器等の精密機械器具に関する設計開発・試作販売、データ解析・可視化技術の研究開発およびソフトウェアの開発と販売、教育事業
URL                    :https://www.amanogi.space/

以上
本件に関する問い合わせ先
Email: contact@amanogi.space
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